胃腸の病気
腸閉塞では急激な症状が現れます。子宮や卵巣のがんに限らず、良性腫瘍であっても、開腹手術後には腸の癒着がおこりやすくなります。これは腸を直接切ったりしない場合でも同じです。
手術後に組織の修復のためにさまざまなサイトカインという免疫系にかかわる物質がでてきて、手術でひきおこされた炎症を繊維化して治そうとする働きをします。
これは、生体反応ですから、臓器の癒着は程度の差こそあれ、術後は必ず起こるものです。
最近は、臓器の癒着を防止する特殊なフィルムが開発され、腸閉塞に腸の表面に貼るようにして癒着防止に努めていますが、それでも、ときどき腸が癒着を起こし、腸が折れ曲がったり、ねじれたりして、腸閉塞になる場合があります。
腸閉塞というのは、小腸や大腸のどこかに食べ物や消化液、ガスなどが詰まった状態になることです。
腸閉塞で怖いのは、腸管膜という膜の中の血管まで締め付けられて血行障害を起こしてしまうことです。
腸管膜のなかの血管は腸に栄養を送っていますが、腸管膜が締め付けられることで、血行障害が起こり、腸管が壊死してしまうことがあります。
このときには、緊急手術が必要となり、適切な処置をしないと、命にかかわることがあります。
腸閉塞の症状は、便秘、突然おこる腹痛や吐き気、嘔吐などです。同時におなかがはった感じがします。実際、腹部がふくらんでくることもあります。
腹部の痛み方は、キリキリと強い痛みが起こった後、しばらく痛みが遠のき、再びキリキリと痛み出すといった状態を繰り返します。
嘔吐物は、食べたものだけでなく、胃液や黄色い胆汁を含み、さらにひどくなると下痢便のような色やにおいを伴ったものになります。
腸閉塞になっても、その多くは手術をしないで、内科的な治療で治ります。一時的に飲食をいっさい絶ち、点滴で栄養補給しながら、腸を動かします。
軽症の場合は、しばらくこの状態を続けるだけで治ります。それでもよくならない場合は、鼻から胃腸に管を入れ、内容物を吸い上げて腸管の内圧を下げます。
一週間前後の内科的治療で治らないような場合は、手術が必要になることがあります。
かつて腸閉塞は、比較的簡単に手術がおこなわれていましたが、手術によって再び別な癒着がおこる可能性もあるため、内科的治療で経過をみる場合が多くなっています。
手術後の腸閉塞は、いつ起こるかわかりません。手術をしてからまだ日がたっていなうちに起こることもありますし、何年かたってから起こることもあります。
腸閉塞の予防としては、まず第一に手術後3年間は、満腹になるまで食べ過ぎないようにすることです。
それと整腸作用のある食べ物をとり、水分を十分摂取することが大切になります。それでも症状がでてきたら、速やかに受診をするようにしましょう。
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